病院

ICTの活用による業務効率化、
患者サービス向上で地域医療への更なる貢献を

日本海総合病院 山形県酒田市

総合医療情報システムの構築、医療情報の広域連携の実現に尽力する日本海総合病院。許可病床数630床、1日1,400人以上の外来患者の健康を支える同病院が、オンライン資格確認導入に踏み切った経緯と成果、課題を伺いました。

オンライン資格確認を導入した理由

導入を検討した背景と経緯を教えてください

当院は、2008年に山形県立日本海病院と市立酒田病院が統合・再編し、新たに地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構日本海総合病院として開院しました。開院当時から電子カルテシステム、オーダリングシステム、医事会計システム、DPC分析システム、薬剤管理システム、外来受付システムなどで構成される「総合医療情報システム」を活用し、医療安全や業務の効率化に取り組んできました。

2011年には、医療情報ネットワーク「ちょうかいネット」が構築され、庄内地域の基幹病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護施設などが患者同意のもと、診療記録、薬歴、検査結果、画像所見などを参照できるようになりました。このネットワークの最も特徴的なことは、基幹病院の医師記録を開示し、地域全体でより質の高い医療サービスの提供を目指したことにあります。2019年に山形県全域、2020年には秋田県と連携協定を結び、ICTを活用した医療情報の広域連携が実現しています。こうした流れの中で、総務省が2014年度に行ったマイナンバーカードの保険証利用に関する実証実験にも参加しました。

オンライン資格確認を導入しようと思った理由は?

まず、総務省の実証実験にモニターとして協力してくださった患者さんの75%が、マイナンバーカードの保険証利用について「利便性が高い」と評価したことが挙げられます。事務部門としても、オンライン資格確認を医事会計システムと連携することで、入力ミスの防止やチェック体制の効率化に役立ち、正確な資格確認ができることのメリットは大きいと考えました。また、厚生労働省から、「2021年10月分のレセプト請求以降、保険者番号の枝番を記載する必要がある」とアナウンスされたことも導入を検討した大きな理由の1つです。

もう1つの理由としては、東日本大震災を経験し、災害時の常用薬や薬歴の確認の重要性を痛感し、それに備えておく必要があったからです。

導入を検討する際の課題と、「決め手」となった点について教えてください。

オンライン資格確認の導入に伴う電子カルテ、医事会計システムなどの改修費用、顔認証付きカードリーダーの設置場所、台数などが課題になったと言えます。資格確認を必要とする各部門の担当者を中心にディスカッションしながら、設置場所などを検討しました。

導入の最大の決め手は、正確な資格確認と業務の効率化、患者さんの利便性を向上するうえでメリットの大きなシステムだという共通認識ができたことだと思います。総務省実証実験でも課題となっていた、マイナンバーカードのPIN入力の煩雑さが顔認証付きカードリーダーで解消できることや、導入費用が助成されることも、導入を決めた理由の1つになりました。

病院長の島貫隆夫さん。

顔認証付きカードリーダーについて

顔認証付きカードリーダーの設置場所や受付の導線などで配慮したことは何ですか?

顔認証付きカードリーダーは、1階エントランスの総合受付、救命救急センター受付の2カ所に設置しました。もともと保険証で資格確認をしていた窓口に設置したので、特に受付の導線を変える必要はありませんでした。車椅子を利用されている患者さんでも顔認証ができる高さに設置することも課題でしたが、カメラの撮影範囲が上下に幅をもたせた設定になっており、問題ないと判断しました。ただ、逆光が強すぎる場所を避けるといったカメラ性能を低下させないような配慮は必要だと思います。

今後、資格確認を行う各部門の窓口に設置する予定ですので、設置台数は計18台になる見込みです。さらに、当院の関連施設である日本海酒田リハビリテーション病院、日本海八幡クリニックなど3カ所の診療所にも、このシステムを導入する計画です。

顔認証付きカードリーダーを選ぶポイントについて教えてください。

すでに当院に導入していた再来受付機と同じメーカーのものを選びました。保守対応や電子カルテなど他のシステムとの連携の面でも有効だと考えたからです。また、子育て支援医療証など各種医療証への対応を予定していることもポイントでした。顔認証付きカードリーダーの設置は、電子カルテのシステムベンダーに依頼しました。

日本海総合病院の受付にテスト導入された、顔認証付きカードリーダー。

システム導入のプロセスについて

システム導入において苦労した点はどこですか?

医療機関等向けポータルサイトのオープン当初はオンライン資格確認等システムの仕様が示されておらず、当院の電子カルテや医事会計システムとの連携や改修範囲も不明でした。各種仕様やネットワーク構成などの情報がそろわない中での構築作業であり、試行錯誤の連続でした。テスト環境の動作確認では問題はありませんでしたが、本番環境でシミュレーションしてみるといくつか解決すべき課題が散見されました。シミュレーションで発生した課題についてはシステムベンダーや顔認証付きカードリーダーメーカー、院内の各部署などと連携しながら解決しました。

本番環境のシミュレーションで明らかになった課題とは、どのようなものでしょうか?

たとえば、(本番環境のシミュレーションにおいては)オンラインで照会した結果が券面に記載されている内容と異なっているケースがありました。保険者から提供される資格情報の正確性はオンライン資格確認システムの重要な部分であり、運用管理している社会保険診療報酬支払基金と情報共有しながら課題の解決に取り組んでいます。

顔認証付きカードリーダーの動作や処理速度に関しても当初問題があったため、メーカーに報告して改善してもらいました。

(左上)医事主査の澁谷智幸さん(右上)情報システム主査の佐々木邦義さん
(左下)事務局調整監の池田恒弥さん(中下)受付担当の齋藤久美子さん(右下)医事課長の佐藤善久さん

システム導入後の変化について

オンライン資格確認を導入したことで、業務の内容や流れはどのように変わりましたか

これまでは、医事会計システムに登録した内容を保険証のコピーをもとに目視でダブルチェックしていましたが、医事会計システムと連携したことにより資格確認の結果を画面上で確認できるようになり、業務効率が向上しました。また、資格確認事項の不備によりレセプトが返戻されると、患者さんに電話をして保険証を持参していただき、登録しなおす必要がありました。こうした事務処理が省けることで、患者さんにご負担をおかけすることがなく、併せて業務の効率化にも大きく寄与すると考えています。

一方、受付時にオンラインでの資格確認や枝番および照会番号を登録する業務が加わりましたので、職員はこうした業務に慣れていく必要があると思っています。たとえば、初診の患者さんがマイナンバーカードで受付をしたとき、限度額情報、特定健診、薬剤情報、などの情報提供に同意するかどうかを確認する画面が表示され、質問の意味がつかめずに迷っている方が少なからずいます。こうした場合、受付の職員が患者さんのサポートを行っているのが現状です。

導入後のランニングコストはいかがですか

医事会計システム等のシステム改修で追加したオプションの保守料金がかかってきます。また、オンライン資格確認端末にインストールする電子証明書には発行料が発生するため、設置場所を集約できるところは集約していきたいと考えています。

オンライン資格確認は、どのように周知されていますか

院内のポスター掲示やデジタルサイネージ、受付時のご案内などで周知に努めています。

当院は、1日の外来患者数が1,400人以上と酒田市内で最も人の集まる場所です。このため、総務省の実証実験の際、エントランスに「マイナンバーカード申請カウンター」を特設し、市役所の職員の方にマイナンバーカードの利用についての説明や、申請の受付をしていただきました。

最近では、マイナポイントが実施されたこともあり、酒田市民のマイナンバーカードの取得率は令和3年2月1日現在で26.5%となっています。マイナンバーカードを保険証としてご利用いただくため、当院としてももう一歩、市民の皆さんに取得していただけるようお願いする価値はあると考えています。

実際に導入してみて最も大きなメリットは何でしょうか

保険資格の正確な確認が可能になったこと、高額医療費の限度額を照会できるようになったことです。従来、入院前に限度額適用認定証の申請をしたうえで認定証を持参していただく必要がありましたが、オンライン資格確認と情報提供の同意があれば即座に照会でき、患者さんやご家族の手間や窓口負担を軽減することができます。

地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構
日本海総合病院

〒998-8501 山形県酒田市あきほ町30番地

TEL:0234-26-2001(代表)

http://www.nihonkai-hos.jp/hospital/

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