病院

震災の教訓から医療情報のデータによる管理を重視。
オンライン資格確認を早期導入し、患者サービス向上に生かす

公立岩瀬病院 福島県須賀川市

須賀川市の小高い丘に建ち、150年にわたり地域住民の健康を見守ってきた公立岩瀬病院。先人たちの「進取の気性」を受け継ぎ、先進的な医療、システムを積極的に取り入れてきました。

オンライン資格確認を導入した理由

導入を検討した背景と経緯を教えてください

当院は1872年(明治5年)、当地への西洋医学の導入のために開設されました。これまで、先進的な診断法や治療法、システムを積極的に取り入れ、地域の患者さんに提供してきたというバックグラウンドがあります。現在、登録医であるかかりつけ医の先生方とともに地域医療連携ネットワークに参画しており、その拡大を進めているところです。当院はこのネットワークの立ち上げの初期段階から参画していますが、今では多くの施設が参画しており、結果的にサービス向上に役立っていることから、早期に参画してよかったと考えています。

東日本大震災の際には当院も被災し、診察券や保険証、おくすり手帳などを失った患者さんも多く、大規模災害から医療情報を守る大切さを痛感させられました。ITを活用することが医療情報を安全に管理する方法になるのではと、オンライン資格確認についても前向きに検討を開始しました。先ほど例に挙げた地域医療連携ネットワークなど新しい取り組みを積極的に取り入れ、それによって患者さんの利便性が向上した実績があったことが、導入に向けた検討をスムーズに進めることにつながったと考えています。

院長の土屋貴男さん(左)、参事兼医事課長兼診療支援室長兼医療情報管理室長兼診療情報管理室長兼経営企画室長の有賀直明さん(右)。

オンライン資格確認等システムを導入しようと思った理由は?

2020年9月、総務省から公立病院として導入を検討するよう働きかけがあったことをきっかけに、まずは事務的なメリットと患者さんのメリットの両側面から院内で議論しました。その結果、資格過誤によるレセプト返戻にともなう業務や健康保険証情報入力の手間の削減、限度額適用認定証情報や薬剤情報、特定健診情報の照会など、導入することでこれまで参照できていなかった医療情報を閲覧でき、患者サービスの向上に繋がるのではないかと考え、患者さんだけでなく当院にとってもメリットの大きなシステムであると判断し、導入を決定しました。

システム導入のプロセスについて

システムベンダーにオンライン資格確認等システムの相談をしてから、実際にシステムを導入するまでの流れを教えてください

2020年10月初旬、当院に電子カルテやレセプトコンピューターなどを納入された実績のあるシステムベンターに相談し、医療機関等ポータルサイトから顔認証付きカードリーダーの申し込みをしました。

顔認証付きカードリーダーは、患者の流入の観点から受付が集中している中央診療棟・外来棟、救急外来、産婦人科病棟の各受付に3台設置することにしました。2021年2月にはシステム構築と顔認証付きカードリーダーの設置が完了し、3月17日に運用を開始したという経緯です。この間、システムベンダーへの依頼、発注などで困ったことはなく、予想以上にスムーズに導入できた印象があります。

導入がスムーズに進んだポイントはどこにありますか

1つには、システムベンダーの協力がありました。長年、当院のシステムを担当したシステムベンダーに早期に相談したところ、熱心にシステム構築に当たってくれました。顔認証付きカードリーダーについても、自動精算機、自動再来受付機の導入実績のあるシステムベンダーの製品であったことがスムーズな導入に結びつきました。
もう1つは、導入にあたった担当者が医事課長と医療情報室長を兼務しており、受付窓口の事務を担当する医事課、システム管理部門である医療情報室との連携が円滑に進んだことが挙げられます。

オンライン資格確認等システム導入後の変化について

オンライン資格確認を実施していることは(もしくは「マイナンバーカードを保険証として利用できることは」)、どのように周知されていますか

当地域におけるマイナンバーカードの交付率は、2021年5月現在、23.4%と全国平均に比べ高いとはいえません。このため、当院のホームページでは「オンライン資格確認の運用にご協力ください」と呼びかけるとともに、マイナンバーカードの申請方法とマイナンバーカードを健康保険証として利用する方法についてご案内しています。また、エントランスホールや自動精算機、自動再来受付機の周囲など院内随所にポスターを掲示し、マイナンバーカードをお持ちの方は受付窓口の職員にお声がけくださるようご案内しています。

さらに、ホームページからYouTubeに開設した「公立岩瀬病院公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCwxd0f_FXtes3Kw5XBHdA8w)」にリンクすることで、オンライン資格確認の意義などについて理解していただけるようにしました。もともと当院では、地域住民向けに生活習慣病を予防するための食事や運動の仕方、退院後のリハビリなどについて、医師やコメディカル、看護師などから情報提供する「出前講座」を行ってきました。「公立岩瀬病院公式チャンネル」は、コロナ禍で対面での「出前講座」ができなくなった代替案として開設したものです。

また、運用開始後に地元メディアにニュースリリースを配信したところ、テレビ局やいくつかの地元紙が取材に訪れ、大きく取り上げていただきました。早期にこうした取り組みに参画していることをPRすることによって、病院側にもメリットがあると思います。

実際に導入して感じたメリットは何でしょうか

当院ではマイナンバーカードを用いた受付の他、主に「一括照会」の機能を活用しています。これは、入院や受診の予約をしている患者さんの保険資格などの情報を事前に照会できる機能です。オンライン資格確認は、マイナンバーカードを持っていない患者さんでも健康保険証の記号番号などで資格確認が可能です。一括照会では、こうした患者さんも含めて事前に予約患者の資格確認をおこなうことができ、受付業務を円滑に進めることができます。

もう1つのメリットは、資格過誤によるレセプト返戻を防ぐメドが立ったことが挙げられます。従来、当院では健康保険証情報の入力内容を職員3人がかりでトリプルチェックしてきました。それでもなお完全には資格過誤を防ぐことができず、レセプト返戻処理に少なからず負担を強いられてきたのが実情です。そのため、こうした事務負担が軽減されるメリットは大きいと感じています。

また、限度額認定証情報の照会が可能になったことも大きなメリットです※。当院のような地域基幹病院では、入院患者さんのほとんどが限度額を超えるのが実情です。その際、患者さんが医療費助成を受けるためには、入院前に限度額認定証の申請をしたうえで持参していただく必要がありました。オンライン資格確認等システムを利用することにより、患者さんや家族にこうした手間をおかけすることなく即座に限度額認定証情報を照会し、窓口負担の費用を軽減することができます。

早期に導入したことで、地元メディアで「公立岩瀬病院で県内初運用」「全国一斉稼働に先駆け」と紹介されたことも、当院への信頼を高めていただく一助となったと感じています。今後もオンライン資格確認の周知に努め、より多くの患者さんが特定健診情報や薬剤情報の閲覧などを通じてメリットを実感され、広く普及していくことを期待しています。

※限度額適用認定証情報の照会は今後開始予定(2021年7月現在)

公立岩瀬病院

〒962-8503 福島県須賀川市北町20番地

TEL:0248-75-3111(代表)

http://www.iwase-hp.jp

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