医科診療所

健康保険証での資格確認を積極的に利用したことで、
受付業務の負荷を大幅に削減

うめい内科医院 福岡市早良区

うめい内科医院は、福岡市西部に位置する早良区の住宅地において、地域に根ざした医療機関としての信頼を築いてきました。親子代々の患者さんに加え、福岡という地域性から転勤族も多く、様々な年代層を対象にホームドクターとして循環器科を中心とした一般内科診療を手がけています。

オンライン資格確認を導入した理由

オンライン資格確認を導入しようと思った理由は?

転勤族が多いという福岡市の土地柄もあって、オンライン資格確認による本人確認に魅力を感じたからです。また、マイナンバーカードでの本人確認により、最新の資格情報を確認できるだけではなく、診療に有用な二次情報(薬剤情報等)も閲覧できるのも大きなポイントでした。

ごく稀にですが、過去に他人の健康保険証を使用されたケースがありました。2次医療機関に紹介した後、不正使用が発覚したため、これからはそのような不安を抱えることなく、診療に臨める環境は医療機関にとって大きな意義があります。確率は少なくても、現実問題として健康保険証だけでは正しい本人確認ができないのですから。

さらに私自身、アメリカでの研究機関在籍中にソーシャルセキュリティナンバー(社会保障番号)を取得した経験があり、本人確認が簡単確実にできるシステムの利便性を実感しておりました。そういった海外での経験からも導入を検討する後押しになりました。

システム導入時に苦労したことはありましたか?

セットアップ作業にさほど抵抗感がなかったので、システム業者には依頼せずに自分で行いました。マニュアル通りに行えば比較的スムーズでしたね。少々苦戦したのは、ネットワークの設定作業で、利用している回線種別(光回線)に応じた設定が大変でした。ただ、先行導入時期で情報も少なかったこともあったかと思いますので、今では情報やマニュアルも整備されているでしょう。そのため、これから導入される医療機関・薬局の方はネットワーク関連について、既存の仕組みや設定に必要な情報等を早めにシステム業者に相談するのがよいと思います。

診療にとって重要になると考えていたレセプトコンピューターとの連携も自分で設定しました。システムができあがったことで、日常のレセプト作成業務は格段に軽減されたと思います。

1994年の開院以来、地域医療に貢献。近隣の小学校の校医も務める、院長の梅井利彦さん。

オンライン資格確認システム導入後の日常

オンライン資格確認では各機能をどのように利用していますか?

受付にて健康保険証を提示いただき、レセプトコンピューターにて資格確認を毎回行っています。マイナンバーカードを提示いただいた際は患者さんご自身で顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置いていただいて、問題なく対応してもらっています。診療前に薬剤情報や特定健診等情報は照会しておき、診療時に患者さんとコミュニケーションする中で初診のときやお薬手帳の情報だけだと情報が足りないと感じたときに確認しています。

マイナンバーカードが利用できることや、顔認証付きカードリーダーの利用を周知するために配慮した点はありますか? 

院内に入ったら、まず目に入る位置にマイナンバーカードで受付ができる旨を告知するポスターを掲示しています。そして、利用する方にお声がけしやすいように、顔認証付きカードリーダーを受付カウンター中央に設置しています。患者さんからは「マイナンバーカードを提示しても個人情報が漏れることはないのか」と聞かれたことはありますが、「健康保険証の情報だけしかいただかないので安心してください」とお伝えして納得いただいています。患者さんの中には毎回顔認証付きカードリーダーに置くのが習慣になっている方も少なくありません。

オンライン資格確認導入後の変化

オンライン資格確認の導入後、業務はどう変わりましたか?

以前は健康保険証情報の記入や変更点のチェック、データのバックアップ作業やレセプト請求時はその月分を一通り確認し直す作業を行っていましたが、そういった作業がなくなりました。スタッフからは「業務量が2割程度は減少した」という声も挙がっています。また、初診の方でマイナンバーカードを持参されたときは、入力作業がほとんどないため、心の中で「嬉しい!」と感動してしまうとスタッフから聞いてます。

受付を担当している杉山さん。

私自身が最も手応えを感じているのは、健康保険証による資格確認です。例えば、今日の午前中に来院された40人の方のうち、マイナンバーカードを利用した患者さんは2人だけでした。でも当院としては、オンライン資格確認をこの2人だけに利用しているわけではありません。レセプトコンピューターと連携し、レセプトコンピューターから診療した40人すべての健康保険証の状況がオンラインで即座にわかります。健康保険証の有効期限が切れているという情報も把握できます。患者さんがマイナンバーカードを持っているかいないかは関係なく、健康保険証の有効性がわかることがこのシステムが有用であることのポイントです。

ただ、診療にとって大切なデータである薬剤情報は、マイナンバーカードで本人確認と資格確認をして、同意を得た方しか利用ができません。そうした点においては、マイナンバーカード利用者が広がることを期待したいですね。

オンライン資格確認導入による効果

オンライン資格確認を一定期間運用して、メリットを強く感じているのはどのような点でしょうか?

当初はマイナンバーカードとの連携そのものに期待していましたが、実際に利用してみると、健康保険証の有効性を確実に照会できることが最も大きなメリットだと気づかされました。これまでは、転職などで保険者が変わっても、患者さんから渡される健康保険証が変わっていなければ、受付の時点で気づくことはできませんでした。それに、どんなに気をつけていてもやはりヒューマンエラーが起きます。また、住所が確認できるのも便利ですね。症状等によっては改めて患者さんとコミュニケーションを取る必要もあったりするので、その際に正確な住所が必要なので助かります。

また、たとえば1年ぶりに来院された患者さんに「健康保険証を忘れました」と言われるようなことがあると、当院では、顔なじみの患者さんであってもいったんは全額支払っていただき、後日に改めて健康保険証をお持ちいただいて精算していました。こうした手順を患者さんにお伝えするのは、やはり心苦しいものがありましたが、現在は、以前提示いただいた健康保険証の情報で有効性が確認できれば、次回健康保険証の持参をご案内もしますが、通常の請求を行い、患者さんとのトラブルやスタッフの苦労も発生しなくなりました。

オンライン資格確認を導入したことで、患者さんにはどのようなメリットがあるとお考えでしょうか?

現在マイナンバーカードを利用する患者さんにとって一番意味があるのは、医師が、その患者さんの薬剤情報を正確に把握できることではないでしょうか。他の病院でどんな投薬を受けているかを知ることは、診療にも重複投薬を防ぐという点からも非常に重要だと思います。お薬手帳もありますが、自分で管理しなくてはいけないので情報として正確とは限りません。

導入コストや運用コストを加味しても、オンライン資格確認を導入する価値がありましたか?

それは確かなことです。経営者として、これまで資格過誤による返戻があった際に患者さんへの問い合わせ、再請求という負担を生むレセプト返戻の回避は大きな課題でしたので、そういった対応がほとんどなくなったので導入した価値はあったと思っています。運用し始めて、健康保険証の有効性が正確に即座に照会できることの利便性を実感しました。
また、資格過誤での患者さん対応は、スタッフの心労もあったとは思いますが、そういった対応がなくなったことで、スタッフのメンタル面のケアにも繋がっていると思います。コストとして見えてこないところではありますが、スタッフのケアにも繋がることは、結果的によかったと感じています。

今後、オンライン資格確認に期待することは?

マイナンバーカードとオンライン資格確認のシステムは、周知を粘り強く進めることで徐々に広がっていってほしいですね。本日(取材をさせていただいた令和4年2月10日)、当院でマイナンバーカードを利用した2人の患者さんは、きっと他の病院でも使うでしょう。多様な場所でマイナンバーカードを使う経験が普及していく仕組みがあれば、利用者の経験も広がり、それが新たな利用者の増加にも結びつくのではないでしょうか。

2021年10月から医療機関での薬剤情報の閲覧が本格的にスタートしました。今後の運用によって患者さんの薬剤の情報が蓄積されていくことで、さらにこのシステムは価値を持つでしょう。一回一回の投薬の記録が何の役に立つのかと思われるかもしれませんが、情報は積み重ねることにこそ意味があります。その集積が、将来の患者さんにとって「正しい診療」という大きな実を結ぶことになると確信しています。だからこそ、このオンライン資格確認等システムを継続して利用し続けることが重要だと考えます。

もし、マイナンバーカードを持参する患者さんが少ないことや健康保険証照会の手間から、導入をやめてしまうようなことがあれば本当にもったいないことです。このシステムを利用し続けることで知らず知らずのうちに貴重なデータが蓄積され、さらには新たな機能も追加されていくでしょう。利用し続けることこそが患者さんにもメリットを生むことにも繋がると考えます。

現在、マイナンバーカードで新型コロナウイルスのワクチン接種の情報を確認できますが、将来的には、予防接種やその他のワクチンも同様に記録できると、公衆衛生上、大きな役割が果たせるのではないでしょうか。そういった情報が追加されていくことを期待しています。

うめい内科医院

〒814-0012 福岡県福岡市早良区昭代3-5-15

TEL:092-822-7555

その他の導⼊事例

  • CASE.01

    電子カルテシステムとオンライン資格確認の連携で
    患者さんにより良い医療を。
    友だちの家に遊びに行くように、
    地域住民が何でも相談できるクリニック

    あかいしクリニック 東京都三鷹市

    あかいしクリニックは、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の住民が通う、身近な医療機関として信頼を築いてきました。地域に密着してきた同クリニックが、オンライン資格確認等システムを導入した理由を探ります。

    もっと詳しく

  • CASE.02

    早期導入してさまざまな実践をしておくことが、
    運用後のスムーズな活用につながる

    はとりクリニック 川崎市幸区

    はとりクリニックの周辺には高層マンション、オフィスビルと旧家、神社、寺が共存する独特の風情があります。地域住民とそこに通うビジネスパーソンに向けて、幅広い年齢層を対象に、内科・循環器の診療を行っています。

    もっと詳しく

  • CASE.03

    マイナンバーカード利用を積極的に啓発し、多くのメリットを享受。
    マイナンバーカードを診察券として活用するなど、事務作業の手間もコストも削減

    大塚眼科クリニック 神奈川県川崎市川崎区

    大塚眼科クリニックは、JR川崎駅直結で利便性の高いビル内に位置し、年齢を問わずさまざまな患者さんが来院します。オンライン事前予約やWeb問診の導入など、患者さん向けに積極的なデジタル化を推進しています。

    もっと詳しく

  • CASE.04

    健康保険証での資格確認を積極的に利用したことで、
    受付業務の負荷を大幅に削減

    うめい内科医院 福岡市早良区

    うめい内科医院は、福岡市西部に位置する早良区の住宅地において、地域に根ざした医療機関としての信頼を築いてきました。親子代々の患者さんに加え、福岡という地域性から転勤族も多く、様々な年代層を対象にホームドクターとして循環器科を中心とした一般内科診療を手がけています。

    もっと詳しく

  • CASE.05

    受付での積極的な声かけで、マイナ保険証の利用率が向上。
    医師が閲覧できる情報を患者に説明することで、
    患者のマイナ保険証利用への不安を払拭。

    たかやま内科医院 福岡県福岡市

    たかやま内科医院は「高山胃腸科内科医院」として1975年に開業しました。2015年に「たかやま内科医院」と改名し、一般内科、胃腸内科、心療内科、女性外来の診療を行っています。若年層から高齢者まで、地域の人々の健康を総合的・継続的に支えています。

    もっと詳しく

医療機関等向け総合ポータルサイトからお申し込み