病院
救急医療、日帰り手術、高精度放射線治療に対応
〜オンライン資格確認で患者サービスのさらなる向上を目指して〜
社会医療法人きつこう会 多根総合病院 大阪市西区
年間8,000件を超える救急医療、日帰り手術、高度放射線治療に対応し、地域医療に貢献する多根総合病院。業務効率化、患者サービス向上を目指してオンライン資格確認等システムを導入した取り組みを探りました。
オンライン資格確認を導入した理由
当院は昔ながらの人情が通う大阪の下町で地域医療を担い、昨年創立70周年を迎えた病床数304床の民間病院です。大阪大学医学部の旧第二外科(現・消化器外科学Ⅱ)出身で現病院長の丹羽英記が赴任した1987年以降、「職員が自分の家族を入院させたいと思う病院」を目指し、独自の特徴を打ち出すとともに地域医療の質の向上に努めてきました。
救急搬送件数は、「24時間365日、患者さんを断らない」という方針のもと、大阪でもトップクラスの年間8,000件以上にのぼります。また、手術数は年間3,500件を超え、大阪大学関連病院53施設のなかでも最多の実績を示しています。
入院患者さんの早期社会復帰を図るため、根治性と低侵襲性を両立した手術を追求し、在院日数の短縮に努めてきました。こうした観点から、1998年には全国に先駆けて「日帰り手術センター」を設けています。
新館が竣工した2011年には「高精度放射線治療センター」を開設、現在は「内視鏡センター」「がん診療センター」を含む4つのセンター、35の診療科が連携して診療にあたっています。経験豊かな指導医のもと、地域医療の現場で救急手技の取得、一般外来の研修が可能なことから、臨床研修病院として人気が高いのも特徴の1つです。
こうして診療部門で地域医療の質の向上に努める一方、事務部門では業務効率化、患者さんの利便性向上を目指したさまざまな取り組みを進めてきました。
病院長の丹羽英記さん。
当院では以前から、地域医療を担う医療機関として、病院・診療所がセキュリティを確保したうえで、互いに電子紹介状、診療情報提供書等を交換するためのクラウドサービスである「MEDPost」を導入しています。セキュリティを確保しながら、民間保険会社への診断書提出等の業務を効率化させる取り組みを積極的におこなっております。
このようなすでにセキュリティを確保したネットワークによる他のサービスを利用して、煩雑な作業を減らし、患者さんへのサービスへ転化する取り組みを行っていた背景もあり、オンライン資格確認についても同様に、受付業務の効率化を見据えて、導入について前向きに検討を進めました。
顔認証付きカードリーダーについて
第一段階として顔認証付きカードリーダーを新館1階の総合受付に3台設置し、患者さんへの周知をおこなっているところです。ある程度、利用していただけるようになったら、第二段階として各外来の受付に設置し、再診患者さんには総合受付を通らずに直接、各外来受付に来ていただいて資格確認をおこなえるようになればと考えています。
システム導入のプロセスについて
2020年12月、システム導入にかかわる4社の担当者が同席するオンライン会議の場を設け、既存のネットワーク、システムにオンライン資格確認等システムを連携させるための検討を依頼しました。導入までの期間は2カ月ほどでした。
4社の担当者がチームを組み、当院のサーバー室でひざを突き合わせて作業にあたってくれたことが、比較的短期間かつスムーズに運用を開始できたポイントだと考えています。
経営改善担当・院長補佐の直江幸範さん。
システム導入後の変化について
従来、健康保険証のコピーをもとに記号・番号や有効期限などを目視でダブルチェックしていましたが、どうしてもヒューマンエラーが避けられず、資格過誤によるレセプト返戻が後を絶ちませんでした。オンライン資格確認の導入により、こうした事務処理にともなう人的、経済的な損失が避けられるようになったメリットは大きいと思います。
顔認証付きカードリーダーによる受付では、通常の業務と同じく、職員が患者さんに寄り添い、画面に表示される質問の意味を説明したうえで、照会に「同意」「同意しない」のボタンを押していただいています。そのこと自体は職員にとっては通常業務の範囲内と考えていますが、「限度額情報を提供しますか。」と毎回表示されることで、高額療養費制度を知らない外来患者さんから、制度の内容について質問されることもあるようです。
当院は、以前から「MEDPost」の活用を前提にネットワーク、システムを再構築し、医療情報(EHR)、個人の医療・健康情報(PHR)、在宅医療・介護情報(CHR)の一元管理による地域医療の質の向上を目指してきました。将来的にオンライン資格確認等システムを既存のネットワークやシステムと連携し、効率的に導入することにより、資格過誤によるレセプト返戻などの事務処理が大幅に軽減され、患者サービスのさらなる向上に寄与できるのではないかと期待しています。

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