
医科診療所の事例
電子カルテシステムと
オンライン資格確認の連携で
患者さんにより良い医療を。
友だちの家に遊びに行くように、
地域住民が何でも相談できるクリニック
あかいしクリニック 2021年3月掲載
あかいしクリニックは、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の住民が通う、身近な医療機関として信頼を築いてきました。地域に密着してきた同クリニックが、オンライン資格確認等システムを導入した理由を探ります。
オンライン資格確認を導入した理由
当院は2013年に内科、小児科、呼吸器内科を診療科目とし、JR中央線武蔵境駅からバスで5分ほどの地に開業しました。開業当時、周辺は広大な林地でしたが、ほどなく宅地造成が進んで100軒を超える民家や集合住宅が建ちました。そのため、当院の患者さんの年齢層は、このエリアに新居を構えた家族の子どもたちから代々この土地に住んでいらっしゃるお年寄りまで幅広いのが特徴です。
私は、もともと埼玉医科大学病院の呼吸器外科に勤務し、主に肺がんの診療に当たっていました。肺がん患者さんの多くは高齢者であり、気管支喘息やCOPDなどの慢性呼吸器疾患、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、循環器疾患といった基礎疾患を抱えていることから、同科では内科系の各診療科と連携して治療をおこなっていました。勤務中は救命救急センターの開設にも参加し、こうした経験を通じてプライマリ・ケアに魅力を感じるようになり、看護師の妻と開業を決意しました。
開業した動機の1つには、私自身の子どもが病気になったとき、近所に気軽に相談に乗ってくれる医療機関が少なく、苦労したことが挙げられます。このため、地域住民のみなさんが健康に不安を感じたときに、友だちの家に遊びに行くように気軽に相談に来てくれるクリニックをつくりたいと思いました。今では、小さなお子さんが予防接種のときに「クマさん先生のところなら行く」と言ってくれているそうです。また、生活習慣病や気管支喘息などの基礎疾患があるご高齢の患者さんには、受診のたびに特定健康診査(特定健診)や当院の診療記録などのデータを参考に、じっくりお話をうかがいながら診療を進めています。
こうして、さまざまな疾患の患者さんにより良い診療と患者サービスを提供し、必要に応じて武蔵野赤十字病院などの基幹病院に紹介するため、当院では早くから電子カルテシステムを導入していました。2020年9月に電子カルテシステムの更新をしましたが、当時、そのメーカーの担当者からオンライン資格確認等システムについても情報提供を受けたことが、導入を検討するきっかけになりました。

あかいしクリニック理事長の赤石亨さん。
現在、当院は私と看護師2名、事務員2名で運営しています。通常であれば1日平均約60人の患者さんに受診していただいているのですが、インフルエンザシーズンともなればインフルエンザの初診患者さんだけで30人以上が来院されます。さらに、インフルエンザの二次感染による肺炎、気管支喘息やCOPDの増加、花粉症などが重なり、1日患者数が190人以上に達したこともあります。これだけ多数の患者さんが受診されると事務員の業務負担が激増し、保険資格過誤によるレセプト返戻がさらに疲労を募らせることになります。オンライン資格確認等システムを導入することにより、事務員のこうした負担を減らしたいと思いました。元々、健康保険証の入力作業にも時間を要していたので、入力作業削減により事務員の負担軽減が見込めるのも嬉しいですね。
また、オンライン資格確認等システムを導入したもう1つの大きな理由は、ご高齢の患者さんに「ポリファーマシー(多剤服用による薬物有害事象)」の弊害がおよぶのを防ぎたかったからです。日本老年医学会が発表した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」によると、薬物有害事象は処方薬の数に比例し、6種類を超えると発生頻度が大きく増加すると指摘されています。患者さんの中には、当院のほかに3つの医療機関に通院して4種類もの薬剤が重複処方されていたこともありました。ご高齢の患者さんの多くは複数の持病があり、受診した医療機関、診療科でそれぞれ薬剤を処方されますので、ポリファーマシーのリスクはきわめて高いと言えます。
ポリファーマシーは、「おくすり手帳」を利用して処方薬と用量を記録し、かかりつけの薬局を1つに絞って薬歴を管理することで防ぐことができます。しかし、ご自身に処方された薬剤の種類や名称を認識されている患者さんは少ないのが現状です。オンライン資格確認等システムの導入による薬剤情報閲覧を活用することが、こうした薬物有害事象を防ぐうえでも必須になると考えました。
また、当院では特定健診のデータを重視していますが、残念なことに、ご自宅に郵送された臨床検査値の推移を記した用紙を外して持参される患者さんが多いのが実情です。マイナンバーカードでオンライン資格確認をおこなうことにより、ご本人の同意があれば特定健診のデータを医師が参照できるようになることも導入を決めた動機の1つです。
実は、当院でオンライン資格確認等システムの導入を検討していたころ、健康保険証と一緒にマイナンバーカードを持参されたご高齢の患者さんが何人かいらしたことも導入の決め手になりました。マイナンバーカードを健康保険証として利用する意義を理解された方が、すでにいらっしゃることを心強く思いました。

システム導入のプロセスについて
電子カルテシステムの更新でお世話になったメーカーの方に、紹介していただきました。このお2人が知り合い同士だったこともあり、既に導入しているシステムとの連携を含めレセコンベンダーに依頼してから1カ月半程度で導入できました。顔認証付きカードリーダーの設置と動作確認は1日で終わりました。
システム導入後の変化について
顔認証付きカードリーダーは、受付カウンターに設置しました。本体が思ったよりコンパクトだったので、設置場所や受付導線に困ることはありませんでした。既に導入しているシステム等との連携も問題なくできています。マイナンバーカードの顔写真が付いている面を上にして置けば、読み込んでくれるので、使い勝手はよいと思います。
ただ、マイナンバーカードは健康保険証のように受付で対面にてお預りするのではなく、患者さんご自身で顔認証付きカードリーダーに置いていただきます。このため、職員は患者さんのマイナンバーカード置き忘れがないように気を付ける必要があります。
※顔認証付きカードリーダーには、カードの置き忘れ時にアラームが鳴る機能がついています。

保険資格の確認は、これまで目視による健康保険証の確認と手作業による入力で、患者さん1人当たり30秒ほどかかっていました。顔認証付きカードリーダーを導入することにより、この作業があっという間に済むようになりました。
プライマリ・ケアを担うクリニックは、インフルエンザシーズンなどで患者数が通常より格段に増加することがあり、その際、資格確認やレセプト返戻にともなう事務員の負担が大幅に軽減されるメリットは大きいと感じています。

医療法人社団亨洋会 あかいしクリニック
〒181-0016 東京都三鷹市深大寺2-35-29
TEL:0422-39-5941
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