
病院の事例
医師・医事課・受付が「三位一体」で取り組むマイナ活用。マイナ保険証を使いやすい環境を病院全体で整え、利用率の向上を目指す
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)
三島総合病院 2026年3月掲載
JCHO三島総合病院は、三島市唯一の公的病院であり、「良質で思いやりのある医療の提供」を基本理念として地域住民の健康増進に寄与しています。高齢化が急速に進む静岡県東部において、地域の住民・行政・関係機関と連携しながら、安心して暮らせる地域づくりに貢献しています。
運用のポイント
POINT 01
マイナ保険証の利用率向上を目指し、医事課・受付スタッフで意識を統一
医療DX推進体制整備加算を意識し、医療機関等向け総合ポータルサイトで確認できる「マイナ保険証利用率」資料を、医事課や受付のスタッフに回覧。スタッフのモチベーション向上につなげている。また、月1回のミーティングでスタッフ間での意識合わせを行っている。
POINT 02
現場の声によって、会計窓口にも顔認証付きカードリーダーを設置
会計時に資格確認が必要になった場合、以前は受付に並び直してもらっていたため、患者さんからのクレームが発生していた。そこで、受付スタッフの提案により会計窓口にも顔認証付きカードリーダーを設置。資格確認がスムーズになった。

POINT 03
医事課スタッフが医師一人ひとりに直接説明し、薬剤情報等の活用を推進
医師に話を聞いてもらいやすい外来開始前の時間帯を狙って、医事課スタッフが医師一人ひとりのところに出向き、情報閲覧方法などを直接説明。医師からは「ITに詳しくなくても理解しやすくてありがたい」と好評を得ている。現在では、多くの常勤医師がマイナ保険証で得られる情報を積極的に活用している。
マイナ保険証利用の現状
当院には1日270人程度の外来患者さんが来院され、マイナ保険証利用率は89.8%となっています(2026年1月現在)。資格情報の変更がタイムリーに反映されることや、限度額が確認できることなど、導入時からさまざまなメリットを期待していました。患者さんのマイナ保険証の利用が進み、マイナ保険証利用率が上昇したことで、メリットを一段と強く感じるようになりました。

左から、総務企画課(医事)外来係長の山本和嗣さん、病院長の赤倉功一郎さん、事務担当の髙嶋裕子さん
初診の患者さんはまず受付にいらっしゃるので、受付スタッフが「マイナンバーカードはお持ちですか?」と伺うようにしています。再診の患者さんは、再来受付機で受付をした後にマイナンバーカードを通していただいています。顔認証付きカードリーダーは、外来患者さんの動線がスムーズになるよう、初診の受付窓口と再来受付機の間に設置しています。
顔認証付きカードリーダーの使い方がわからない患者さんに対しては、受付スタッフが「一緒にやりましょう」とお声がけしています。高齢の患者さんからも、「やってみたら簡単だった」という声をいただいています。また、車いすを利用されているなど補助が必要な方に対しては、ベテランの看護師を入口付近に配置してサポートしています。
これは地域に根ざしている当院の強みだと思うのですが、受付スタッフと患者さんが顔なじみになっており、信頼関係が構築されています。そのため、受付で患者さんに「マイナンバーカードを持って来てくださいね」とお声がけすると、大部分の患者さんが次回の受診時に持参されます。




マイナ保険証の利用率向上のための工夫
患者さんの資格情報を即時に確認できるようになりましたし、手入力の手間も減りました。初診の患者さんの場合、以前は保険証を見ながら名前や住所、資格情報等を手入力した後、入力した情報に間違いがないか確認し、誤入力があった場合は修正するという流れで、患者さん1人当たり10分程度の作業時間が必要でした。しかし、マイナ保険証の場合はこうした情報が自動入力されるため、作業時間が半分ほど短縮されています。
また、以前は受付でスタッフが患者さんから提示された保険証をその場で一旦お預かりするという対応をしていたため、患者さんは窓口に並ぶ必要があり、朝は10人ほど並んでしまうこともありました。しかし、マイナ保険証は患者さんご自身が顔認証付きカードリーダーで読み取りを行うため、資格確認のための待ち時間が短縮されました。
限度額がその場でわかるのも便利ですね。高額な検査を行った場合や入院が必要な場合などに、限度額適用認定証がなくても個々の患者さんの限度額に合わせて支払いの説明ができるようになりました。マイナ保険証を使っていない方には、限度額適用認定証の申請方法について説明していますが、この対応には2~3分ほどかかります。しかし、マイナ保険証を使う患者さんが増えた今では、こうした説明をする頻度は約7割減少しました。患者さんも、マイナ保険証によって申請の手間がなくなり、便利になったのではないでしょうか。
医療DX推進体制整備加算を意識し、医療機関等向け総合ポータルサイトで確認できる「マイナ保険証利用率」資料を、医事課や受付のスタッフに回覧しています。現在の利用状況と加算状況を可視化して共有することで、スタッフのモチベーションの向上を図っています。また、受付スタッフは月1回ミーティングを開き、マイナ保険証の利用推進に向けてスタッフ間での意識合わせを行っています。
「患者さんファースト」であることを重視しており、現場の受付スタッフの意見を積極的に取り入れています。例えば、当初は顔認証付きカードリーダーを受付窓口のみに設置していたのですが、現在は会計窓口にも設置しています。救急搬送された場合や、時間外に受診する場合など、会計時に資格確認が必要になるケースがあります。以前は、受付に設置した顔認証付きカードリーダーまで移動し、改めて並んでいただくよう患者さんにお願いしていました。しかし、それだと患者さんにとっては二度手間になってしまうため、会計窓口にもカードリーダーを設置してはどうかと、受付スタッフが上層部に働きかけたのです。これにより、受付窓口以外で対応する場合にもマイナ保険証による資格確認をスムーズに行えるようになり、患者さんの動線もスムーズになりました。


診療・薬剤・特定健診等情報の活用
電子カルテを開き、患者さんと対面したタイミングで閲覧しています。電子カルテに「マイナ情報」というタブがあり、このタブで診療・薬剤・特定健診等情報が見られるようになっています。情報を閲覧可能な場合は「○」が付くため、一目で閲覧できるかどうかがわかります。この機能は、顔認証付きカードリーダーを導入した際に、電子カルテのベンダーに導入してもらいました。
当院の場合、今のところ多くの常勤医師がこうした情報を積極的に活用しています。特に確認頻度が高いのは薬剤情報で、重複投与等の予防にも役立っています。また、以前はお薬手帳のコピーを診察時に確認し、必要に応じて薬の情報を電子カルテに手入力していましたが、紙ベースのこの作業が減って効率化されたことも大きなメリットだと感じています。

泌尿器科では、痛み止めが腎臓にダメージを与えると考えられるケースが見つかったことがあります。また、痛風で尿酸値を下げる薬を服用していると、尿路結石ができやすくなることがあるため、高齢の患者さんなど尿路結石のリスクを抱えている方には薬の変更を打診できます。
このほか、若い患者さんの場合はオーバードーズにも注意しています。
診療情報は、初診時や、いつもと違う薬を依頼されたときに確認することが多くなっています。特定健診等情報は、血液検査の結果を確認できると有用な場面がありますし、造影剤を使用できるかどうかの判断基準としても役立つと考えています。
医事課スタッフが医師一人ひとりに直接情報を共有するようにしています。そのほうが、メールや会議などで全体に伝えるよりも効果的だと考えています。例えば、電子カルテに「マイナ情報」のタブができた際には、電子カルテでの情報閲覧方法を直接説明しに行きました。各医師が出勤する時間を看護師に確認した上で、外来開始前の時間帯を狙って出向くようにしていました。外来開始前のほうが話を聞いてもらいやすいと感じたため、医師に話があるときは朝のうちに話しかけることを意識しています。医師からは、ITに詳しくなくても理解しやすくてありがたいと言われています。
もともと当院は、医事課と外来診察室が一直線に配置されていて、医事課スタッフが医師とコミュニケーションしやすい環境になっています。規模が小さく医師が少ないからこそ可能な部分もあるかもしれませんが、普段から医師とのコミュニケーションは重要視していて、こまめなやり取りを心がけています。今後も、医事課、医師、受付スタッフが連携して、院内全体でマイナ保険証の利用率向上や院内での活用を進めていければと思います。

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)
三島総合病院
〒411-0801 静岡県三島市谷田字藤久保2276
TEL:055-975-3031(代表)
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