病院の事例

資格確認のタイミングを見直すことで、患者の待ち時間を短縮し、医師による診療・薬剤情報の閲覧が行える仕組みへ。

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)
東京山手メディカルセンター 2026年3月掲載

JCHO東京山手メディカルセンターは、東京都区西部二次医療圏の急性期病院です。地域の中核病院として、地域医療・在宅医療に携わる医療機関とも協力しながら、医療・介護・福祉等のサービスが滞りなく提供できる「未来志向の地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。

運用のポイント

POINT 01

資格確認のタイミングを会計時から診察・検査前に変更

従来、保険証は会計時に確認していたが、マイナ保険証があれば診療・薬剤・特定健診等情報を取得できることから、診察・検査前に確認する流れに変更。資格確認書を利用する場合も、マイナ保険証と同様、診察・検査前に毎回資格確認を実施している。

POINT 02

受付開始時間よりも前に、マイナ保険証での受付が可能に

受付開始時間よりも前に待合室を開放し、顔認証付きカードリーダーを利用できるようにしている。事前にマイナ保険証での資格確認を行うよう、アナウンスも実施。患者さんは診察までの待ち時間を有効活用できる。マイナ保険証の利用者が増えたことにより、受付スタッフも保険証確認の手間が少なくなり、工数の削減につながっている。

マイナ保険証利用の現状

現在、どのぐらいの患者さんがマイナ保険証を利用しているのでしょうか?

当院は1日約900人の外来患者さんが来院され、マイナ保険証利用率は67.3%です(2026年1月現在)。

副院長の三浦英明さん

患者さんが来院してからマイナ保険証で資格確認を実施するまでの流れについてお聞かせください。

当院では、総合受付に保険確認の窓口を設置しています。患者さんには、来院後に再来受付機または窓口②で受付を済ませていただき、その後、保険確認の窓口でマイナ保険証による資格確認の操作をお願いしています。

また、こうした流れについて、院内での案内として再来受付機付近のサイネージに案内を表示しているほか、万一資格確認の手続を飛ばしてしまった場合でも対応できるよう、患者さんが院内を移動中に持ち歩くクリアファイルに、当院作成のパンフレットを挟んでいます。これに加え、フロアスタッフが声掛けを行い、診察・検査前に資格確認を行うよう患者さんへご案内しています。

なお、マイナ保険証をあまり知らない患者さんに対しても、待ち時間中に診察前のマイナ保険証等による資格確認を案内したパンフレットを見ていただくことで、マイナ保険証の周知につながるよう取り組んでいます。

その他にマイナ保険証で資格確認を実施するにあたり、工夫したことがあればお聞かせください。

当院では、受付開始時間(8:30)よりも前にマイナ保険証で資格確認を行えるようになっています。7:30に正面玄関を開けて待合室を開放し、顔認証付きカードリーダーを受付カウンターにセットしています。マイナ保険証を利用していれば、早めに受付を済ませて円滑に受診することが可能です。

8:00になると、総合受付にスタッフが入り、マイナ保険証による資格確認を事前に行っていただくよう外来患者さんに向けてアナウンスします。8:20頃には、館内放送でも同じように呼びかけます。

受付開始前に資格確認を行えるようにしたことで、患者さんは待ち時間を有効に活用できるようになりました。受付スタッフも、患者さんが自主的に顔認証付きカードリーダーで資格確認をしてくださるため、保険証を確認していた頃と比べて、対応に必要な工数を削減できています。

なお、患者さんがお困りの場合は、受付窓口のカウンターとロビーに配置されているスタッフが対応します。ただ、受付窓口のカウンターには、受付開始時間までロールカーテンを下ろしており、基本的には受付開始後に対応する形をとっています。それでも、患者さんから「不便だ」といったお困りの声は今のところ聞かれていません。

マイナ保険証の利用率向上のための工夫

マイナ保険証の利用率向上のために、工夫したことがあればお聞かせください。

当院では、医師にもマイナ保険証の利用実績について情報を共有し、どの程度マイナ保険証が利用されているのか知っていただくようにしています。また、月1回開催している外来診療運営委員会では、医師への啓発も行っています。

当初は、マイナ保険証の利用率向上のための施策の1つとして、「マイナ保険証会計専用レーン」を設置していました。マイナ保険証で会計前(診察・検査前)に資格確認を済ませておくと、会計時の資格確認が不要となって会計がスムーズになることをメリットとして訴求していたのです。1年半ほど専用レーンを運用した結果、マイナ保険証によって会計がスムーズになることを多くの患者さんに認知していただいたと思います。

しかし、2025年12月2日以降はマイナ保険証が原則となり、マイナ保険証の利用率も50%を超えたことから、この専用レーンは廃止しました。現在でもマイナ保険証の利用の声掛けやアナウンスは、引き続き実施しております。

専用レーンを廃止したことによる影響はありましたか?

特にありません。会計時の待機列が長くなることはありますが、専用レーンを廃止しても、マイナ保険証による受付業務効率化のメリットが大きく、患者さんの待ち時間はむしろ短縮されました。患者さんからも「待ち時間が長い」といったクレームはありません。

マイナ保険証によって、受付業務はどのような点が改善されましたか?

患者さんの資格情報を1クリックで入力できるようになり、入力作業の時間が削減されました。初診の患者さんの場合、以前は5~6分かかっていましたが、今は3~4分で入力できるようになりました。これに伴い、患者さんの会計までの待ち時間も短縮されています。

また、マイナ保険証では限度額を確認することができるため、高額薬剤の使用を検討している患者さんに対して、病院から目安の金額をあらかじめお伝えできるようになりました。患者さんも限度額適用認定証の申請手続きが不要になっており、双方にとってメリットが大きいと感じます。

診療・薬剤・特定健診等情報の活用

診療・薬剤・特定健診等情報はどのタイミングで閲覧していますか?

当院は専門性に特化した病院であり、ほとんどの初診患者さんが紹介状をお持ちですので、紹介状をベースに診療を行うのが基本です。追加で確認したい情報があるときに、マイナ保険証で取得できる情報を閲覧します。例えば、脂肪肝の患者さんの場合、体重の増減やγ-GPTを確認するために、特定健診情報を閲覧することがあります。

情報閲覧の可否については、マイナ保険証で資格確認を行った場合に、電子カルテ画面にポップアップが表示されスムーズに確認ができる仕組みになっています。

こうした情報を閲覧できるようになったことで、どのようなメリットがありますか?

マイナ保険証によって、診察前により多くの患者さんの情報を取り込めるようになりました。紹介状に記載された情報と照らし合わせたり、追加で情報を得たりすることが可能になり、診療の助けとなっています。マイナ保険証で得られる情報は約1カ月前までのものではありますが、特に慢性疾患の患者さんでは問題なく活用できています。

診療時のメリットだけでなく、業務の効率化にもつながっています。以前は、初診患者さんの情報を紹介状から電子カルテに手入力する必要がありましたが、マイナ保険証から取得した診療情報等は、PDFに保存してコピー&ペーストが可能ですので、入力の手間が省けるようになりました。

診療・薬剤・特定健診等情報の活用を推進するために、院内で工夫していることはありますか?

診療・薬剤・健診情報等を医師が確認できるようにするために、患者さんに対し毎回診療・検査前にマイナ保険証で資格確認を行うように運用を変更しました。また、専用レーンの廃止に伴い、運用の統一を図る観点から、資格確認書についてもマイナ保険証と同様に、毎回、資格確認を行う方針へ変更しました。

2025年12月以降、ますますマイナ保険証の利用者が増えたことにより、診療・薬剤・特定健診等情報を見られる患者さんも増えています。

しかし、診療・薬剤・特定健診等情報の活用方法について、院内での周知が行き届いていない部分もあるため、今後、医師に対する周知を本格化させる予定です。

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)
東京山手メディカルセンター

〒169-0073 東京都新宿区百人町3-22-1

TEL:03-3364-0251

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