薬局
「マイナンバーカードはお持ちですか?」の一言が有効。
スタッフ全員で声かけを習慣化し、マイナンバーカード持参を促進
さくらい薬局 大阪府泉北郡忠岡町
1993年開業のさくらい薬局には、忠岡町はもちろん、隣接する岸和田市や泉大津市からも多くの患者さんが訪れています。かかりつけ薬局として薬の処方や配達を行うだけでなく、健康全般に関して幅広く相談を受け付ける「健康サポート薬局」です。
オンライン資格確認を導入した理由
オンライン資格確認の本格運用開始のアナウンスがあった時点で、早期に導入しようと決めていました。私は地域の国民健康保険運営協議会の委員でもあり、マイナンバーカードが健康保険証としても使えるようになるという話も早くから聞いていましたので、患者さんの利便性が高まるだろうと考え、当薬局でも絶対に対応したいと思いました。
さくらい薬局取締役、管理薬剤師の辻内秀美先生
顔認証付きカードリーダー申込からシステム導入までにはシステム業者との機器の選定等に係わる調整もいくつかあり、初期の頃は少し時間がかかりましたが、システム業者とコミュニケーションを取りどうにか導入することができました。これから導入される方は、早めにシステム業者に連絡し、顔認証付きカードリーダーの機種や導入したい時期を伝えると、スムーズかもしれません。
現在は主に保険資格の確認のために使用していますが、特に新患の方や、転職等で保険の変更があった方がいらしたときに、その場で資格確認ができるのはとても便利ですね。特に、当薬局では新型コロナウイルス感染症の治療薬であるラゲブリオやパキロビッドも扱っているため、患者数が増えるタイミングで新患が大幅に増えています。そういった場合でも、確実に資格確認ができて、入力ミスも減らせるので助かっています。オンライン資格確認のおかげで保険資格の間違いにすぐに気づけて、医療機関に問い合わせたこともありました。どのスタッフが対応しても作業品質を担保できるところもメリットに感じています。
また、資格確認の際に「有効」と表示されるだけで安心感があります。人間が作業をすると、どうしてもミスをする可能性がありますが、機械を通して「有効」と出れば間違いないでしょう。情報入力の手間が省けて作業量も減りますが、精神的な負担も軽減されています。
マイナンバーカード持参を促すための案内方法
1.周知物の活用
薬局の各入口に、ステッカーやポスターを貼って、マイナンバーカードでの受付が可能であることをアピールしています。
顔認証付きカードリーダーに関心を持つ患者さんもいらっしゃいますので、顔認証付きカードリーダーを設置している調剤室のカウンター周辺にも、リーフレットを数枚貼っています。
2.患者さんへのお声がけ
処方箋を持ってきた患者さん全員に、「マイナンバーカードはお持ちですか?」と直接伺うようにしています。スタッフ全員が必ずお声がけするよう、徹底しています。
マイナンバーカードをお持ちの場合は、初回はスタッフ1名が必ずそばについて、顔認証付きカードリーダーの操作をサポートします。
マイナンバーカードを持参するのを忘れてしまった方には、「次回ぜひお持ちください」とお伝えします。まだマイナンバーカードを作っていないという方には、「ぜひ作ってくださいね」と促しています。今ならマイナポイントがもらえることなど、メリットをお伝えすることで、次回にはお持ちになる方もいらっしゃいます。
スタッフ全員での徹底したお声がけを始めて3カ月ほど経った頃から、持参される方の数が明らかに増えました。処方箋をお持ちの方全員に対して伺うので、「持ってこなければいけないのかな」と感じられるのかもしれません。やはり地道なお声がけが効果的なのだと実感しています。これはおくすり手帳のときも同じでした。当薬局では、約8割の患者さんがおくすり手帳を持ってきてくださっていますが、これも「持ってきてくださいね」とお伝えし続けることで、これだけ多くの方にお持ちいただけるようになったんです。
ただ、マイナンバーカードを持ってきてくださる患者さんはまだ多数派ではありません。マイナンバーカードを作っていない方も多いですし、個人情報をすべて見られてしまうのではないかと心配される方もいらっしゃいます。当薬局では心配が解消されるまで何に利用させていただくかをしっかりとお伝えし、安心していただくように心がけています。
オンライン資格確認の今後の活用について
今後は薬剤情報や特定健診情報も積極的に活用していきたいと思っています。多くの患者さんがおくすり手帳を持ってきてくださるとはいえ、すべての薬剤がおくすり手帳に記録されているとは限りません。薬剤師として、重複投薬や重複受診に関する情報は知っておきたいため、オンラインで情報を照会できるのはありがたいですね。
また、当薬局は健康サポート薬局ですので、健診受診率の向上をお手伝いするのも役割の1つです。ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響で健診受診率は低下していますが、大切なので年に1回は必ず受診してほしいと思います。特定健診情報が閲覧できると、「そろそろ年1回の健診の時期ですね」などと、こちらからお声がけできますし、特定健診情報が出てこない方にも「健診を受けていらっしゃいますか?」とお伺いすることができます。現在も、医療機関での検査結果を服薬指導の一助にする場面がありますので、特定健診情報が使えるとさらに助かります。
生活保護といった医療扶助※にも対応していただけることを期待します。例えば生活保護を受けている方だと、マイナンバーカードをお持ちいただいても、現状では資格確認ができません。こうした場合は、「次回以降はマイナンバーカードのことは伺わないようにしよう」とスタッフ間で話すようにしていますが、マイナンバーカードをお持ちの方全員が等しく恩恵を受けられるようになることを期待しています。
※医療扶助のオンライン資格確認は、令和6年度頃を目処に生活保護から対応予定。

さくらい薬局
〒595-0805 大阪府泉北郡忠岡町忠岡東1-21-27
TEL:0725-31-3141
〈マイナンバーカードでの資格確認を積極的に利用されている医療機関・薬局からマイナンバーカード持参を促すための取り組みをお伺いしました〉
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A 病院
ホームページにマイナンバーカードが健康保険証利用できることと、受診の際にはマイナンバーカードを持参していただくよう明記しています。さらに来院の際に持参していただくものとして、マイナンバーカード、健康保険証、各種受給者証明書等と記載しています。
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B 病院
ホームページにマイナンバーカードが健康保険証利用できることと、受診の際にはマイナンバーカードを持参していただくよう明記しています。そのうえで、入院患者の方には特に積極的に声がけをしています。入院手続き時に案内し、入院当日に持参していただくようにしています。高額療養費制度が利用できる患者様の利点をもとに、ご持参いただくよう促しています。
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C 医科診療所
ホームページにマイナンバーカードが健康保険証利用できることと、受診の際にはマイナンバーカードを持参していただくよう明記しています。さらに予約時には受付担当から、来院時には医師から直接お伝えしています。マイナンバーカードが健康保険証の代わりになることと、薬剤情報等が医師の方で確認できるので、診断の質が上がることになると説明しています。
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D 薬局
来局した際に、患者様全員に対して、受付時にマイナンバーカードをお持ちか確認しています。
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E 薬局
来局した際に、患者全員に対して、おくすり手帳とマイナンバーカードをお持ちか確認しています。
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F 薬局
来局した際に、患者全員に対して、受付時にマイナンバーカードをお持ちか確認し、お持ちでない場合のみ健康保険証をお持ちか確認しています。
その他の導⼊事例
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CASE.01
「マイナンバーカードはお持ちですか?」の一言が有効。
スタッフ全員で声かけを習慣化し、マイナンバーカード持参を促進さくらい薬局 大阪府泉北郡忠岡町
1993年開業のさくらい薬局には、忠岡町はもちろん、隣接する岸和田市や泉大津市からも多くの患者さんが訪れています。かかりつけ薬局として薬の処方や配達を行うだけでなく、健康全般に関して幅広く相談を受け付ける「健康サポート薬局」です。
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CASE.02
他医療機関での薬剤/診療情報を閲覧し、患者に寄り添ったより良い医療へ。
診察や処方の際での積極的な情報活用が、患者の利益につながるおかむね医院 三重県志摩市
おかむね医院は、1992年開業の内科医院です。外来診療だけでなく、患者さんの自宅や介護施設等での訪問診療も行っています。かかりつけ医として長く診ている患者さんも多く、近隣の病院とも連携しながら地域医療を支えています。