薬局

電子処方箋も紙処方箋も、
すべての患者を受け入れられるように周囲に先駆けて導入。
簡易マニュアルを読み込み運用開始、ノウハウを共有

のどか薬局田原店 長崎県佐世保市

長崎県佐世保市で7店舗、隣接する西海市で1店舗を展開するのどか薬局。2023年3月に他店舗に試験的に導入したのに続き、隣接する医療機関の導入に合わせて同年5月に田原店でも導入。その後もグループ内で運用ノウハウを展開し、8月にはグループ全店舗で電子処方箋を導入しています。

運用開始までの流れ

電子処方箋の導入に至った背景や経緯について教えてください

オンライン資格確認等システムを導入し、資格過誤の防止だけではなく、薬剤情報を服薬指導で活用できるようになり、メリットを感じていました。そのオンライン資格確認等システムの仕組みの延長線上にある電子処方箋についても、導入することで様々なメリットを感じられると期待し、2023年1月に運用開始した当初からグループ全店で導入できるように準備を進めていました。田原店では、隣接するたかさきクリニック耳鼻いんこう科・アレルギー科が今年の5月に導入すると聞いたため、時期を合わせて導入しました。グループ内では、2店舗目の導入になります。

有限会社和 専務取締役の葺本浩平さん(のどか薬局田原店)。

導入する際の課題やハードルはありましたか?

グループ内で電子処方箋を最初に導入した店舗では、周辺の医療機関が電子処方箋を導入していなかったので、実際に医療機関から出された処方箋をもとにパソコン操作や業務を試すことはできませんでした。しかし、システム事業者が作成したマニュアルを読み込んだり、パソコンを触りながらシミュレーションしたりすることで、業務の流れを一通り確認することができ、特に苦労せず運用を開始することができました。運用開始後、田原店で蓄積された運用ノウハウを他の店舗にも共有するようにしているため、チェーン薬局の場合、1店舗で運用を開始できれば、その他の店舗に展開していくことは難しくないと思います。

PC操作の様子。

電子処方箋の案内文書を受付等、患者さんの目につきやすい場所に設置。
電子処方箋の周知・案内等の素材は、 厚生労働省HPよりダウンロードしご活用いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_sozai.html

HPKIカードでの認証の様子。

運用開始後の変化や効果について

運用を開始してから、課題に感じたことはありましたか?

運用開始当初、HPKIカードが管理薬剤師にしか届いていない時期がありました。いまは、当施設の全薬剤師がHPKIカードを取得しており滞りなく運用できていますが、これから導入を検討する施設は、HPKIカードの発行申請は早めに行った方がよいと思います。一方で、今はカードレス署名もできるようになったため、利用しているシステム事業者によってはHPKIカードが届いていなくても対応できる施設もあると思うので、HPKIカードの課題もそこまで感じなくなるかもしれません。

その他、電子処方箋を受け付ける時に患者さんが処方内容(控え)を持参することがありますが、導入時は紙処方箋との違いについて少し戸惑ったこともありました。この点については、心づもりさえしておけば大丈夫だと思います。

電子処方箋を導入した効果を実感していますか?

オンライン資格確認での薬剤情報からですが、新規の患者さんがお薬手帳を持参しなかった際に、過去のお薬の情報をデータで確認できたことがありました。今後電子処方箋の導入が進み、お薬の情報が蓄積されれば、オンライン資格確認と比べて直近の薬歴まで確認できたり、重複投薬をアラートで知らせてくれるようになったりと、患者さんとのコミュニケーションなどにも非常に役立っていくと思います。

その他にも、処方箋に対する調剤結果を入力すると、その調剤結果が処方医に届く仕組みについても、とても便利だと思っています。処方医に対するコメントを併せて入力する機能もあり、疑義照会の結果を入力するなどして利用しています。この仕組みのおかげで、今後、医療機関と薬局とのコミュニケーションも円滑化するのではないかと思います。

また、処方箋受付枚数の増加のために電子処方箋を導入したわけではありませんが、電子処方箋を導入したあたりから処方箋の受付枚数が増えている傾向にあるように感じています。

受付の様子(受付にもポスターを掲示)。

今後の導入施設の拡大や、電子処方箋への期待

今後、電子処方箋の拡大に期待することはありますか?

患者さんの中にはご自身の詳しい病状を把握できていない方もいらっしゃるので、今後薬歴やそれ以外のデータも一層蓄積されるようになれば、それを活用することで、薬局においてより患者さんの状態にあった服薬指導が実現でき、結果として薬剤師の仕事の幅が広がることを期待しています。

また、現在はオンライン診療やオンライン服薬指導を受けても、紙の処方箋の場合、紙の処方箋の原本を受け取り薬局に送付したりする手間がかかります。しかし、電子処方箋を導入する施設が増えれば、引換番号を伝えるだけで処方箋のやりとりができるようになります。長崎県は島が多い地域でもあるので、電子処方箋を導入する施設が増えて、オンライン服薬指導も処方箋の引換番号だけで行えるようになれば、多くの患者さんにメリットを感じていただけるのではないかと期待しています。

業務の様子。

これから電子処方箋の導入を検討する(している)施設へのメッセージ

医療従事者として、来局してくれた患者さんが、当薬局が電子処方箋に対応していないからといって他の薬局に行かなければならないことは避けるべきだと考え、周辺の薬局に先駆けて導入しました。周辺の医療機関が電子処方箋を導入するタイミングを待っている薬局もあるかもしれませんが、遠方の病院で電子処方箋で処方された患者さんが来局する可能性もゼロではありません。また、医療機関は導入せず、薬局だけが導入した状態であっても、患者さんに調剤したお薬の情報は蓄積され、施設間で共有できるようになる点は、電子処方箋の大きなメリットだと思います。電子処方箋は、導入数が増えれば増えるほど、その有用性が最大限に発揮できる仕組みです。業務内容が変化するのではないかと不安に思っている薬局もいるかもしれませんが、マニュアル等を参考に導入後の業務内容を確認していただければ、想像よりも簡単であることが理解できると思うので、是非、早い段階で積極的に導入していただきたいと思います。

のどか薬局田原店

〒857-0136 長崎県佐世保市田原町17-12

TEL:0956-41-0360

https://nodoka-p.com/pages/29/

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