薬局

全社一体となりオンライン資格確認の導入を半年で
全店舗(394店舗)完了。 店舗での事務作業の効率化に寄与

アイセイ薬局下総中山店 千葉県船橋市

アイセイ薬局は、東北から関東、中部、関西エリアに394店(2022年3月15日現在)の調剤薬局を展開しています。地域医療の質を高めると同時に活性化の実現を目指そうとしています。

オンライン資格確認を導入した理由

オンライン資格確認を導入しようと思った理由は?

オンライン資格確認は、資格確認の効率化だけでなく、薬局にとっては近い将来に導入される電子処方箋の土台にもなるシステムでもあるので、先行してインフラを整えていくべきだと考えました。そうすることにより、薬局のスタッフたちも早いうちからシステムに慣れることができると考えました。

また、導入によってアイセイ薬局全体の年間返戻金額のうち、約50%が保険の資格過誤によるものですので、資格過誤が改善されれば、返戻作業にかかわる膨大なオペレーションコストの削減が見込めることや、服薬指導においても、薬剤情報の閲覧によって、服薬情報の一元化や継続的な管理が可能になり、今後患者さんに対して薬剤師が、よりきめ細やかな服薬指導や、健康へのサポートができるのではと考え、全店舗での早期導入を決めました。

株式会社アイセイ薬局、首都圏営業ブロックブロック長/本部長の立入節子さん。

システムの導入時に苦労したことはありましたか?

チェーン薬局ということもあり、組織的な体制づくりと店舗ごとのネットワーク構築でしょうか。当社は全国で394店舗を有しているだけに、全店舗へ円滑且つ早期導入する上では組織的な体制作りが不可欠です。そこで、調剤薬局の現場と本社各部署のスペシャリストで構成されるワーキンググループを結成し、さらに外部のシステム業者やレセプトコンピューターの提供会社とも連携して、ネットワーク面での課題解決も進めました。

本格運用開始前であったため、先行導入店舗を設け、システム業者も試行錯誤しながら設定・設置作業となりましたが、今ではマニュアルも整備されていますし、スムーズに導入ができたと思います。また、現場からの意見に関しても各支店の担当マネージャーや医療事務のテクニカルスタッフ経由で課題を吸い上げ、ワーキンググループを介して「どのようにすればスムーズに導入・展開できるのか」といった解決策を考える体制を作り上げてきました。そうやって着実に対応店舗数を拡大し、半年後の2022年3月には全394店舗(当時)全店に導入を完了しました。

オンライン資格確認導入後の日常

オンライン資格確認をどのように利用していますか?

患者さんがいらっしゃったら、処方箋と健康保険証を預かり、健康保険証の情報を元にオンライン資格確認を行っています。マイナンバーカードをお持ちの患者さんに対しては顔認証付きカードリーダーを案内し、本人確認や資格確認を行っています。
当薬局での、下総中山店は駅前ビルの8つのクリニックが集結している医療モールに位置しており、1日400枚前後の処方箋に対応しているので、開店直後には患者さんが受付に列を成す場合もあります。運用開始後は、患者動線として顔認証付きカードリーダーを設置することで患者さん目線では受付に時間がかかってしまうのではないかと心配しておりましたが、問題なくスムーズな受付対応ができています。

アイセイ薬局下総中山店、店長の土井政典さん。

アイセイ薬局下総中山店、事務の杉野有希さん。

アイセイ薬局下総中山店、事務の逆井優希さん。

顔認証付きカードリーダーや資格確認端末の設置場所について、考慮した点はありますか?

どの店舗でも薬局受付カウンター上のスペースが限られているため、顔認証付きカードリーダーに関しては最もコンパクトなタイプを選択しました。患者さんの受付コーナーに設置していますが、問題なく運用できています。受付カウンターに顔認証付きカードリーダーを置くことができない場合に備えて専用の棚を準備したのですが、コンパクトサイズを選んだおかげか、希望する店舗はありませんでした。
また、受付カウンター内も省スペース化したかったので、資格確認用のパソコンに関しては小さいサイズのものを選定しました。

患者さんへのマイナンバーカード利用はどのように周知されましたか?

厚生労働省のHPにある広報素材を各店に掲示しています。
また、全社として全店舗導入完了後もワーキンググループを継続しており、「患者さんへのマイナンバーカードの健康保険証利用の告知を徹底したほうがいい」という話から周知方法の改善を図っています。例えば、各店舗に掲示されているデジタルサイネージでマイナンバーカードの健康保険証利用に関する告知動画を放映(2022年3月中旬以降)するようにしました。

さらに今後は、患者さんにいっそうのメリットを感じてもらうために「限度額を超える医療費の一時払いが不要になる」「データに基づく効率的な薬物治療ができる」「マイナポータルでの検診情報閲覧可能になる」といった具体的なメリットを知っていただけるような取り組みを進めていきたいと考えています。

オンライン資格確認導入後の変化

オンライン資格確認の導入によって、受付業務はどう変わりましたか?

現場での肌感覚としては、健康保険証の資格情報が喪失している患者さんや、住所変更といった変化を事前に把握できるメリットが生まれています。返戻の対応は事務スタッフの大きな負担となっていましたから、その場で有効か否かが判定できるのは、調剤薬局を運営していく上での安心材料となっています。また、事務スタッフにとっては「保険証番号で資格確認ができる」という点は大きな変化であったため、本部からの周知もしっかりしたこともあり、活用できています。
今後、アイセイ薬局全体として資格過誤による返戻削減の検証を行っていく予定です。

オンライン資格確認の導入後、独自に取り組んだことはありますか?

前述の通り複数店舗を経営している特性からオンライン資格確認に係るワーキンググループを立ち上げました。効率的な導入作業、運用方法、患者さんへの周知方法といったありとあらゆる検討を行っていることもあり、全社として利活用ができていると思います。
その他、マニュアルやQ&Aなどの作成において言葉ではわかりにくい操作方法などに関しては、動画を撮影して全店舗で共有しています。

オンライン資格確認による効果

オンライン資格確認を一定期間運用して、メリットを強く感じているのはどのような点でしょうか?

一番のメリットは、健康保険証の正しい情報を知ることができることです。実際、資格喪失していても健康保険証を提出する患者さんもいらっしゃるため、最新の資格の確認等新たな業務が発生していましたが、それらをなくすことができています。また、その場で正確な資格確認をすることができるため、返戻削減につながることです。健康保険証に正しい住所を書かない患者さんもいるため、そういったケースにおいても住所情報を活用しています。

今後、薬剤情報閲覧機能や特定健診情報閲覧機能で取得した情報などをもとにした健康相談なども積極的に進めていく予定です。そういった情報を活用することで、病気になってから医療機関にかかって治療するのではなく、病気になる以前の“未病”対策についても、オンライン資格確認がきっかけとなって実現できるのではないかと思っています。

まだ導入していない医療機関・薬局に対して、何かメッセージはありますか?

当社のようなチェーン薬局や複数施設を経営している医療機関においては、オンライン資格確認を導入していく上で、システムという「テクニカル」な面と現場での「運用」という2つの異なる軸を統括してまとめていくことが求められると思います。当社では本部・店舗含め組織の垣根を超えたワーキンググループを結成しながら両軸の対策を綿密に練り上げて対応しました。そうした対策ができない場合でも、外部の機関を積極的に頼れば課題を乗り越えられるはずです。実際、テクニカルな面に関してはシステム業者やレセプトコンピューター会社らの力を借りたことで早期解決に繋がりました。そして、補助金が支給されるのが心強い点です。
導入面のハードルは想像以上に低く、導入後のメリットは想像以上に大きいのがオンライン資格確認だと言えるでしょう。今後、利用拡大していく基盤でもあるため、オンライン資格確認をきっかけに医療のIT化がいっそう進んでいくことを期待しています。

アイセイ薬局下総中山店

〒273-0035 千葉県船橋市本中山2-10-1 ミレニティ中山4F

TEL:047-302-3821

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